「かもめ」 2幕

  • 2008/07/27(日) 22:28:15

人間というのは言葉が通じ合わなくても
心を通わせようという気持ちさえあれば
コミュニケーションは不可能ではないはず・・

その逆にたとえ言葉が通じても
心が通い合わなければ
言葉も素通りしてしまうもの

チェーホフは人の心のもどかしさを描いていたのだろうか?

自己主張は受け入れられてこそ意味を成すもの

皆が皆自己主張し続ければ・・

それは同じ言葉を使いながらも会話が成り立たない
まるで互いに外国語を話しているのと同じ状況になる

人の意見を聞きなさいとはよく言ったもの

2幕目は・・

誰もが皆自分を主張するばかりで

誰も誰かの言葉を聞くことはしない・・

自分の言葉だけが虚しく響いているようにも思える


ソーリンの屋敷の中庭

アルカージナが自分とマーシャを比較して
自分がどれほど若く魅力的かを語っている

マーシャもまた自分の不幸を語り出す・・

マーシャの父シャムラーエフも領地の経営のことしか頭にない
マーシャの母ポリーナはそんな夫にうんざりしてドルンに恋心を抱いている

互いが自己主張と自分勝手な思いで話し出し・・
思いはさらに遠ざかる

トレープレフもまた、自分の思いだけでニーナに詰め寄り
ニーナは更にトレープレフから心離れていく

若いニーナの夢は女優として有名になること

自分の殻の中でいじけているトレープレフよりも

名声と才能溢れるトリゴーリンに惹かれている

トレープレフは撃ち殺したかもめを彼女に差し出す

そして・・自分もかもめのように死ぬのだと・

愛することよりも愛されることだけを望むトレープレフ
彼の思いは彼女の心を撃つことはできない

かもめを撃ち殺し・・自らも打ちのめされる・・

一方、寡黙なはずのトリゴーリンはニーナの前でだけ雄弁になる

なぜなのか?

それはニーナが夢の中で幸福を漂っているから・・

若い娘特有の漂う魂

退屈した作家がふとその夢に加担してしまう

このニーナとトリゴーリンのシーンで眠くなる観客が多いのでは?

ここで淡々とした長台詞のトリゴーリンの声は夢の中に滑り込んでくるように流暢なのだ・・

それゆえに・・眠くなる?
夢に誘われるように・・

これはもしかしたら・・チェーホフがそう企んでいるんじゃないかとさえ思える

そういう意味ではこのシーンの鹿賀さんの声は実にピッタリだと言える

ニーナじゃないが・・

頭が・・クラックラする・・

トリゴーリンはこの物語の中で一人浮いている・・

誰もが皆もがいているのに
この男だけは退屈している

この男が語る言葉は自分の事でも他人事のようだ

そんな男が少女の夢に気まぐれに入り込んで・・
彼女の夢を打ち落としていく・・

かもめのように・・

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