MUSASHI

  • 2009/04/29(水) 03:41:14

シアタードラマシティー

4月28日マチネ

作 井上ひさし 演出 蜷川幸雄

主演 宮本武蔵・藤原竜也 佐々木小次郎・小栗旬


「MUSASI!待っていたぞ!」

と・・小次郎の心中がよくわかる(笑)

待ちに待ったこの日がとうとうやってきた!

大阪が唯一の地方公演となるこの作品ですが
5月10日の千秋楽までは日数がある・・

とはいえ・・本日に感じた感想をば・・新鮮なうちに書き綴ってまいります。

いつもながらに自分勝手で・・おまけに思いっきりネタバレありです

よろしければお進みくださいませ





時は慶長十七年4月13日午の正刻(正午)

第一幕 舟島の決闘

いわゆる・・巌流島の決闘から舞台は始まる

武蔵来た

「遅いぞ!武蔵!」

「小次郎敗れたり!」

小次郎、やられる・・・

クライマックスから始まる「MUSASHI」

ここからがオリジナル

なんと・・小次郎は生きていた!!


今回の奇想天外な作品はこの・・

実は生きていた(あるいは実は死んでいた)

という「生命(肉体)」と「精神」なくして語れない気がするのです

そして、「能」と「禅」

「能」は「死者の世界からものを見る」というのが特徴である

「禅」はそれに反して・・「精神と肉体は同一のものである」としている
まあ・・心と体は別もんじゃあないってことよね(ちょっと違うぞ)


さて、能書きはこれまでにして・・


生きていた小次郎は
深い恨みを胸に、6年の月日を過ごし・・

6年後に武蔵の前に現れる・・

そこで再び果たし状を武蔵に突きつける小次郎

果し合いは3日後・・

その3日間を宝蓮寺という禅寺で過ごすのだ

二人の決闘を止めようとする

宝蓮寺の住持の平心、沢庵和尚、柳生宗矩、木屋まい、筆屋乙女

彼らは実は・・・死んでいた人々だった

という・・な〜〜〜〜んともファンタスティックな設定である

亡霊が出てくるとは聞いてはいたが・・

いつ、どうやって出てくるんだ?

と思っていたら・・最初から出てた〜〜〜〜〜!!

なるほど、井上先生やってくださる

復讐の連鎖、恨みの連鎖・・その鎖の始まりは

恨みの文字の細い一筆書きから・・

それを断ち切ることができるのは人の力のみ

「恨みは晴れるのではなく、太るのでは・・」

死んだ父の恨みを晴らさんとする筆屋乙女の言葉が印象的だ

だが・・この連鎖も生きている人間が断ち切るのはやはり困難なことなのだろう・・

死者に教えを請うしか、術がないのだ・・とそう言っているように私には見えた


井上戯曲の近年の特徴として・・(いや、前からなのかもしれないが)

一人の人間のストーリーであってさえ・・個人だけをクローズアップしない

群像劇とまではいかないが、たとえ一人の人間の物語でもその人を語るに複数の演技者に一人の人を演じさせている

「道元の冒険」しかり、「ロマンス」しかり・・

今回の「MUSASHI」ではそれはないものの・・

誰か一人が主演というわけでもなく・・かと言って全ての人の物語を語られるわけでもない・・

一つのテーマに様々な人が関わっているのだ・・

武蔵も小次郎も名を上げるために人を殺めている

互いに強さを誇り、自分の主張を繰り返す度に

その掛け合いが実に愚かで滑稽に見えるのだ・・

大爆笑の嵐を呼んだ「五人六脚」

必死に自己主張する二人の邪魔をする宗矩や沢庵(実は死んでいた人々)

おかしなことは笑い飛ばせばいい

これは喜劇のセオリーなのだ・・

「人を殺して成長する宮本武蔵がなぜ英雄とされるのか?」

井上ひさし先生の疑問符がここに終結されている

武蔵も小次郎も愚かでちっぽけな人間にすぎない

亡霊に一芝居打たれて、まんまと騙され、自分は皇位継承権18位だと思い込んで失神した・・実は権威に弱い小次郎が

「今、皇位継承権は何位くらいだろう?」と呟いたとき

武蔵はこう答える

「この国には三千万の人が暮らしている(当時)というが・・二人とも千五百万位くらいじゃないのか?まあ・・ごく当たり前の人ということよ」

この台詞も印象的だ・・

ドラマティックなはずの宮本武蔵の物語を・・

よくもまあ、これほどのファンタジーに塗り替えたことか・・

また、その裏側に「能」と「禅」という日本古来の伝統や宗教を潜ませ

「生きる」ことと「戦う」ことを問いかけてくる

井上戯曲の妙技を見ました

なかなかに見応えがあり・・そして・・思いっきり笑わせていただきました

また・・蜷川ピクチャーショーも健在なり

お見事な舞台装置でした

竹林のざわめきが・・なんとも美しいこと・・

そしてまた、蜷川さん特有の銃声やら爆撃やらの効果音・・
やはりここでもしっかりと伝えることは伝えてくれます

巨匠二人の力技と今を生きる若く才能溢れる二人の主役

それを支えるベテラン勢・・

中でもさすがの迫力の白石加代子さん・・ためいきが出るほどの演技力
宗矩役の吉田鋼太郎さんもまた、お茶目にはじけまくりながらも貫禄はさすが

当て書きされただけあって、どのキャラもまさにその人が演じてこそ際立つものばかり・・

武蔵と小次郎の掛け合いなど・・ご当人らがあちこちでおっしゃっていたが・・まさに藤原竜也と小栗旬の掛け合いに見えた

演劇初心者にもわかりやすく、おもしろく

尚且つ・・いくらでも解釈の範囲を広げていける

次は5月6日に観劇予定

次回にはどういう見方ができるのか・・楽しみです

やはり、井上先生の戯曲はおもしろい!








この記事に対するコメント

今さらですけど・・・

ムサシ、ほんっといい舞台だったね〜。
ほんとにわかりやすくて、スーッとはいってきて、それでいて深い!
笑いのポイントもただ笑えるんじゃなくて、奥に秘められた思いなんかが普通にセリフ聞くより理解できたり。
井上さんの舞台、生で見るの初めてだったけどコレほどおもしろいとは思いませんでした!
ありがとねーッヽ(*・ω・)人(・ω・*)ノ

秘密のコメント

ブログ管理人への秘密コメントです

  • 投稿者: -
  • 2009/05/13(水) 13:22:13
  • [編集]

ひでちゃんへ

う・・今・・7月・・
2ヶ月間の放置プレイ・・どうしよう〜〜〜((゜-゜*;)オロオロ(;*゜-゜))
ごめんにゃ〜〜〜!!ひでちゃん・・
ここ・・先日2ヶ月ぶりに開きましたわいな
まさか・・ここにコメントがつくとは思わず・・(あっちを閉じたから・・ここしかないか・・・)
本当にごめん〜〜〜〜!!

次回はイギリスRSCの演出家さんの舞台ですわよ〜〜
がんばりましょう〜〜〜(って何を・・?)

ひでちゃんも嵐の夏ですわねん
がんばれ、乙女!!v(*'-^*)bぶいっ♪

カギコメ様へ

本当に長いこと放置状態で申し訳ありません。

貴女にそうおっしゃって頂けると逆に恐縮してしまいます。
そうですか?小次郎は●●ですか?(笑)

貴女の洞察力には私の方こそ・・いつも感嘆しております。

あちらの方にはパスワードを設けておりまして・・
内容も・・竜也さんとは全く関係ないもので・・お教えするのは逆に失礼なのでは?・・と躊躇しております。
現段階では、実際にお会いした事のある方のみにパスワードをお教えしているのです。
もう少し・・自分が自分を冷静に見つめられたら・・・またそちらにもお邪魔いたしますね。

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